16 Jun 2022
多摩川を遡上する江戸前アユの被害が甚大!
天敵のカワウを如何に減らすか、東京都が対策に乗り出しました。
鮎の天敵、カワウを減らす東京都の試み
多摩川のアユは、江戸時代には将軍家に献上されたとか!
その「江戸前アユ」をカワウから守るため、東京都はカワウの生息調査に乗り出すことになった。
その方法とは?
先ずはカワウを捕獲してGPSをを取り付け、生息場所を追跡調査する。
この方法は、既に他の河川、栃木県-鬼怒川や群馬県-桐生川で始まっているそうです。
この作戦を計画している東京都や地元漁協は、
・営巣地の場所
・生息数
等を調査した上でカワウによる鮎の食害を減らす手段を検討する。
具体的には、
1.アユの活動場所に近づけない
大きな音を出して追い払う
2.繁殖数を減らす
ドローンを使ってカワウの巣にドライアイスを入れて卵を孵化させない
などの方法が想定されています。
アユは主に4月頃から遡上を始めます。
その遡上アユを狙ってカワウが群れで集中攻撃するんですね!
カワウによる漁業被害は全国で69億円!
アユ漁は、ほとんどの都府県において6月~7月に解禁になります。
(一部の河川では5月中頃解禁になるところもあります。)
アユ漁といってもほとんどが趣味で鮎釣りを楽しむ人達です。
水産庁によるとカワウにより漁業被害は69億円(2019年)に上ったそうです。
この額は、アユだけではなくフナやコイなども含まれています。
山合の河川の脇などでヤマメの養殖場所を見かけたりしますが、これら養殖場なども被害に遭っているんですよね。
筆者もこのような場所で狩猟期にカワウの駆除に参加したことがありました。
カワウは非常に警戒心が強いので直ぐに逃げてしまい、射程内で撃つことがなかなかできません。
カワウの駆除は狩猟期外でも銃による捕獲が行われています。
しかし、銃による駆除では個体数の削減には限度があるんでしょうね。
多摩川をコロニーとするカワウが何故ここまで増えたのか?
多摩川に限らず河川の汚染がひどかった1970年代には、全国で3000羽程度しかいなかったそうです。
それが、水質改善進んだ結果2011年度の調査では12万羽まで回復した。
水質改善によってアユの遡上が増え、それを餌とするカワウが増殖してしまった、ということなんですね!
そのカワウ、自然界においては猛禽類以外に天敵がいません。
天敵たるタカや鷲もそう多くいるわけではないので、だんだん増えてしまったということですね。
アユの生態
アユは秋に川の中流で産卵します。
産卵を終えたアユは背部分が真っ黒に変色し川を下ります。
いわゆる落ち鮎というやつです。
ふ化した稚鮎は、川を下り12月~3月頃まで海で過ごし、その後生まれた川へと遡上を始めます。
江戸前アユに限らず、全国の河川でカワウからアユを守ってあげたいですよね。
カワウによるアユの捕獲は鵜飼だけで十分です。
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この記事は、令和4年6月3日読売新聞の記事を元に掲載しています。