わな猟免許の取り方|狩猟免許試験の内容と準備事項について

昨今、イノシシや鹿による農林業への被害が拡大する中、ワナ猟免許取得を目指す人が増えています。
でも、ワナ免許ってどうやって取ったらいいんでしょうか?

狩猟免許は猟法、つまり使用する猟具に応じて
・第一種銃猟免許
・第二種銃猟免許
・網猟免許
・ワナ猟免許
に大別されています。

ここでは、狩猟免許の中、わな猟免許の取り方について解説していきます。

狩猟免許(わな猟)取得のステップ

狩猟免許を取得するためには都道府県が行う狩猟免許試験に合格する必要があります。

1.狩猟免許試験の申込み
狩猟免許試験は、どこの都道府県でも年に数回実施されています。

東京都の場合、
「東京都環境局>鳥獣保護管理対策>狩猟免許試験について」
にて検索すると、狩猟免許試験の日程、試験会場等がわかります。

自分の希望する日、場所を決めて予め申し込んでおく必要があります。
ただし、どこの会場も人数制限があり定員に達すると申込みが打ち切られてしまいますので早めに申し込んでおく方がいいですよ。

その申込み(事前申請)は、住所地の都道府県へ申請することになります。
申請方法は都道府県によって異なります。

具体的には、
・担当窓口に持参する
・郵送する
といった方法になります。

2.狩猟免許試験の内容と合格基準
2-1.試験内容
(1)知識試験

① 試験時間 : 90分
② 出題形式 : 三肢択一式の筆記試験
次のように出題されます。
・次の記述のうちただしいものはどれか
・次の記述のうち適切なものはどれか
・次の記述のうち誤っているものはどれか
・次の記述のうち違反でないものはどれか
・次の記述のうち差し支えないものはどれか

若干、煩わしい感じもしますが問題をよく読めば大丈夫!
三択問題ですから、3つの中から正解を1つ選ぶということです。

正解がハッキリわからないとき、明らかに間違っているものを消していく、いわゆる消去法も一つの手ですね。

③ 出題数 : 30問
④ 出題事項
ア.鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法令(共通)

イ.鳥獣の保護及び管理に関する知識(共通)

ウ.鳥獣に関する知識(共通)

エ.猟具に関する知識(ワナのみ)

※ (共通);各狩猟免許共通の意


(2)適正試験

適性試験!と言われると何か恐れ多い感じがしますが内容は、
・視力
・聴力
・運動能力
以上、3つの要素について基準を満たしていれば合格となります。

具体的には、

① 視力
両眼0.5以上であること。
ただし、1眼が見えない者については、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.5以上であること。

※ 万国式試視力表により検査した視力で、矯正視力を含む(眼鏡着用可)。
当該合格要件は、あくまでもワナ猟の合格基準であり、銃猟免許の場合とは異なります。

② 聴力
10メートルの距離で、90デシベルの警音器の音が聞こえる聴力を有すること。
と、なっていますが医療機器を使って検査されることはないようです。
(今後、どうなるかわかりませんが。)

③ 運動能力
狩猟を安全に行うことに支障を及ぼす恐れのある四肢、または体幹の障害がないこと。
その恐れがある者については、補助手段を講ずることにより狩猟を行うことに支障を及ぼす恐れがないと認められるものであること。

具体的、試験の内容は、
手脚の屈伸や指の曲げ伸ばし程度です。


(3)技能試験
先ず、技能試験を受ける前提となるのは、前述の知識試験および適正試験に合格するということになります。
つまり、知識試験、適正試験に合格しないと技能試験を受けられないということです。

わな猟免許の技能試験は次の3つです。
① 猟具(ワナ)を見て当該猟具の使用の是非を判断する。
② ワナ猟で使用できる猟具の1つを架設する。
③ 提示された獣類のイラスト、写真または、はく製等を見て狩猟獣類か否かを瞬時に判別する

<技能試験突破のポイント!>
ワナ猟で使用する猟具は、イノシシや鹿を捕獲する箱ワナのような大型のものからイタチを捕獲する小さなものまで様々です。


箱ワナは大人が数人いないと持ち運びできない様な大型のワナです。

はたして、そんな大きなワナを試験会場に持ってきて架設テストさせるのか?
可能性は低いですよね。
そうなると、他のワナ猟具の架設を練習しておいた方が良いかもということになります。

後は、鳥獣判別ですね。
わな猟ですから、基本的に獣類の判別と言うことになります。
出題される獣類は(ほぼ)次の16種類です。

・狩猟獣類(9種)
タヌキ、キツネ、テン、イタチ(オス)、ニホンジカ、アライグマ、ハクビシン、アナグマ、ミンク

・非狩猟獣類(7種)
モモンガ、オコジョ、カモシカ、イタチ(メス)、ニホンリス、ムササビ、ニホンザル

提示されたイラスト等を見て狩猟獣類であれば、その名前を解答する必要があります。
なお、イタチは雌雄同色で形からだけでは、判別できません。
オスと明示されていれば狩猟獣類となりますが、明示されていなければ大きさで判断するしかありません。

体長が実物大で30㎝~40㎝程度であればオス、狩猟獣類となります。
それ以下の大きさであればメスで非狩猟獣類ということです。

非狩猟獣類は、その名前は解答不要です。
指示された解答要領で、「ダメ」とか「非狩猟鳥獣」とかで解答。

鳥獣判別に使用されるイラストは基本的に狩猟読本の挿絵がそのまま使われることが多いようです。
イノシシや鹿は判別し易いですが、リス類(ニホンリス、タイワンリス、エゾリス)は特徴をよく見て
覚えておかないと失敗しますよ!

コチラの記事 ↓ ↓ がワナ猟免許の鳥獣判別の練習になると思います。
狩猟免許試験対策|鳥獣判別の押さえどころ!(わな猟編)

2-2.合格基準
(1)知識試験
70%以上の特点で合格です。

(2)適正試験
視力、聴力、運動能力、それぞれ基準値を満たしていれば合格です。

(3)技能試験
・わな猟で使用できるか猟具かどうかの判別
・猟具の架設
・鳥獣判別
以上について、減点式で採点され70%以上の得点で合格となります。

課題と減点事項は次の通りです。

課題 減点事項 減点数
猟具の判別
使用できる猟具3種類、
禁止猟具3種類について判別
判別を誤った場合
(1種類につき)
5点
猟具の架設

使用しようとする猟具1種類を架設

架設が出来なかった場合
架設が不完全な場合
架設が円滑でない場合
31点
20点
10点
鳥獣の判別 判別を誤った場合
(1種類につき)
2点

受験資格について

狩猟免許試験は住所地の都道府県で受験すること、と決まっていますが、それ以外にも年齢制限、他いくつかの項目があります。

具体的には下記いずれかに該当する人は受験できません。

1.受験する狩猟免許試験日において満18歳未満の人
2.統合失調症、そううつ病(そう病及びうつ病を含む)、てんかん(発作が再発するおそれがないもの、発作が発生しても意識障害がもたらされないもの、及び発作が睡眠中に限り再発するものを除く。)にかかっている人
3.自己の行為の是非を判別し、又はその判別に従って行動する能力を失わせ、又は著しく低下させる症状を呈する病気にかかっている人
4.麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
5.自己の行為の是非を判別し、又はその判別に従って行動する能力がなく、又は著しく低いひと
6.鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)又は同法に基づく命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過していない人
7.狩猟免許を取り消され、その取消しの日から3年を経過していない人
8.不正な手段によって狩猟免許試験を受験し、又は受験しようとしたため、受験する狩猟免許試験日において受験を禁止されている人

狩猟者登録について

以上、わな猟免許取得のステップについて解説しましたが、狩猟免許試験に合格しただけでは狩猟をすることができないんですね!

ワナを使って猟をするには、「狩猟者登録」する必要があります。

狩猟者登録は、狩猟を行う都道府県ごとに申請し、
・狩猟者登録手数料
・狩猟税
以上を納付する必要があります。

(1)申請に必要な書類等(東京都の場合)
① 狩猟者登録申請書

② 写真(2枚)
狩猟者登録申請書貼付用:1枚
狩猟者登録証貼付用:1枚
サイズ:縦3.0cm×横2.4cm

③ 施設賠償責任保険証券の写し
損害保険会社が損害の填補を約する施設賠償責任保険契約の当該年度の被保険者であることが確認できるもの

(2)狩猟者登録手数料
1,800円

(3)狩猟税
8,200円

※ 東京都の場合を例として書きましたが、基本的にどこの道府県でも同じです。
ただし、狩猟者登録手数料、狩猟税の納付の仕方は都道府県によって異なります。

狩猟期間について

狩猟免許さえ取得すれば、いつでも狩猟ができるという訳ではありません。

環境大臣が定めた鳥獣の狩猟期間は次のとうりとなっています。
(放鳥獣猟区を含む猟区を除く)

北海道における狩猟期間
10月1日~翌年の1月31日まで

北海道以外の狩猟期間
11月15日~翌年の2月15日まで

※ 一部地域によっては、鳥獣の生息状況によって期間が延長されているところもあります。

まとめ

狩猟免許試験は、決して難しいものではありません。
されど、あまり勉強しなくても合格できるほど簡単じゃないんですね!

知識試験や鳥獣判別は机上の勉強で何とかなりますが、ワナの架設とかになると実際扱ってみないと簡単には出来ないと思います。

そこで、猟友会等が実施する事前講習会(初心者講習会)の受講がオススメです。
若干費用はかかりますが、狩猟免許試験の日程に合わせてその少し前に実施されるところが多いようです。

猟友会は全都道府県にあり、その下部組織である猟友会支部(地域ごとに複数ある)が実施しています。